森林循環

sustainability

日本は、世界でも有数の森林大国であり、国土の約67%は森林です。さらに、国土面積に占める人工林(杉・桧)の割合は、約28%にもなります。その森林大国である日本の中で、私たちが暮らす静岡県浜松市の天竜地域は、人工林の植林が盛んに行われ、「日本三大人工美林」と言われるまでになりました。

2010年には、森林の適正な維持管理と伐採、植林ができる体制が認められ、浜松市の森林は、国際的な環境規格であるFSC認証を取得。現在では、FSC認証林の取得面積が、市町村別で全国第1位となりました。しかし、時代の移り変わりとともに、林業や製材業を営む環境は、厳しい状況に置かれています。国産材の国内消費率は約28%と、いまだ低水準のままです。少子高齢化による新築住宅の減少や、専門職人の減少など、周りを取り巻く環境も厳しさの一途をたどっています。

こうした状況の中、先人たちが育ててきた森を守るために、私たちに何ができるのか。「天竜ブランド」として持続可能な森林をどのように次の世代に受け継いでいくのか。その課題に、日々向き合っています。

山は、木を使って守るもの。

世界では約16億人が、食料や住居を含め、「森林」と何かしらの関わりを持ちながら暮らしていると言われています。森林は、私たちに澄んだ空気やきれいな水など、さまざまな暮らしの恵みを与えてくれますが、近年、地球上では違法な森林伐採により、森林破壊が進んでいます。

将来にわたって、持続可能な森林を保つためには、適正な管理・伐採・植林を行わなければなりません。そのためには、ただ木を伐採するのではなく、伐採した木を使うことが必要です。一般的には「木を伐採して使う」と聞くと、環境に悪いイメージがあるかもしれませんが、森林の循環を考えた適正な伐採であれば、森林環境にとって悪いことではありません。

伐採した木を、どのように活かすのか。その使い道を考えることで、木の可能性は、まだまだ広がります。そして、木の使用が広がることによって、森林整備や植林などの活動にも好循環が生まれてくるのです。まさに、“山は、木を使って守るもの”なのです。

「木を使う」ことで、森林環境を維持するための“好循環”が生まれる。

地元の木を使うことで、地域に貢献できる。

山で伐採された木材は、製材加工して運搬され、さまざまな用途に使われます。たとえば、住宅や店舗の建築であれば、杭一本にはじまり、建物一棟分の柱や梁、内装材に木材が使われます。建築用途以外でも、器や玩具、家具などの生活用品に加工され、販売されています。こうした木製品を消費者が購入することで、新たな植林や適正な森林整備が可能となり、美しい山林を保つための好循環が生まれます。

地元の木を使った製品を購入するということは、すなわち、地元の山林を守り、育てることにつながるのです。山間地域の過疎化が進む現代においては、積極的な地産地消をとおして、地域の豊かな自然環境を次の世代に受け継いでいくことが、ますます重要になってきています。

【地元の木の活用事例】
木造住宅
近年では、木の色や節を考慮する職人さんが少なくなっている中、木材のコーディネーターとして、「何の用途でどこの部分に使用するのか」を理解して製材しています。設計士の意図をくみながら木を選定し、住宅一棟分に使われる木材の見積もりをおこない、全体のコスト管理も実現します。
店舗
木を用いることで、人工的になりがちな店舗空間に、落ち着きや居心地の良さを加えることができます。また特に、地元の産品を扱う店舗においては、内装や什器に地元の木を使うことで、店舗全体のコンセプトに統一感が生まれます。
家具
天竜材の主要な樹種である杉・桧は、従来、主に建材として利用されていましたが、近年は杉や桧ならではの柔らかさや、やさしい色合いが再評価され、机や椅子などの家具として加工されることが増えています。家具製作に適した製材品を提供します。
木製品
現代の生活空間に馴染む、デザイン性を兼ね備えた木製品も、地元の木で作ることで、製品にストーリーや付加価値が生まれます。また、地元の木でできた玩具などを、木育の一環として利用することで、子供の頃から地元の木に親しんでもらうきっかけとなります。
端材・廃材活用1
端材を利用して、ワークショップやイベントで使用・販売する積み木や小物などを製作しています。木育の一環として、木を有効活用することを心がけています。
端材・廃材活用2
当社では、丸太の皮やおがくずも捨てるのではなく、農家さんや酪農家さんなどに、堆肥などとして使っていただいています。業界を超えた地域の連携で、ゴミを出すことなく、木を使い切ることを目指します。
セミナールーム

天竜の森を知り、木の良さを体感。人が集い、次世代を育てる場に。

子供から大人まで、天竜材の魅力を五感で体感できるような空間です。天竜材のもつ魅力を最大限に活かした空間の中で、森林や木材への知識を深め、森林文化を育みます。浜松市内のショップとのイベントやワークショップにも利用できるスペースです。
研修スペースとして映像等で天竜の山の歴史を学べたり、隣接する製材所で生産工程を一貫して見学することができます。
天竜材を使用した木製品や食器等を展示します。住宅部材だけでなく、天竜材がどのように使われているのかをご紹介します。
天竜材を使用した木製品や食器等を展示します。住宅部材だけでなく、天竜材がどのように使われているのかをご紹介します。